第一巻：第１集〜第５集あらすじ

第１集 鈴木真　誕生　（テムジン誕生）

1146年、モンゴル族の汗･アンパガイは金国に通じたタタール族の将･テムジン＝ウゲの謀略で捕らえられ金国皇帝の目前で処刑される。

その十五年後…メルキト族に嫁いだオンギラト族の美女ホエルンはモンゴル･キャン族のエスゲイの名を騙るタタール族に襲われた。夫のチレドを殺され逃げ惑う彼女は本物のエスゲイの一族に救われ、ホエルンの美貌に魅せられたエスゲイは彼女を娶る事にした。この結婚はモンゴル族で歓迎されたがモンゴル族の一派･タイチウト氏のタリグタイやブルキン氏のセチュベキはエスゲイに反感を抱き、メルキト族もまたモンゴル族への復讐を誓っていた。

一年後、エスゲイはタタール族と会戦し仇敵テムジン＝ウゲを捕えた。時を同じくしてホエルンは男児を出産、凱旋したエスゲイはその子がソロデン（モンゴルの闘神）の矛の形をした血塊を握っていたのを喜び、その子に敵将テムジンの名を与えた。彼こそは後にチンギスハーンとなる人物である…。

九年後、父と狩に出たテムジンは二本の矢が刺さった獲物の鹿を巡ってもう一本の矢を撃ったモンゴル族の少年･ジャムカと争いになる。その後互いの器量を認め合った二人はエスゲイが見守る中で盟友（アンダ）の誓いを結んだ。

第２集 也速該の死　（エスゲイの死）

九歳のテムジンはオンギラト族の娘との婚約するため父エスゲイに連れられ旅にでた。その途中、父がモンゴルの仇敵･金について語るのを真摯に聞くテムジン。オンギラト族の縁者･ディ＝セチェンと出会ったエスゲイは彼の娘･ボルテを気に入りテムジンとの婚約を決めた。一方、少ない供回りでエスゲイが移動中との報を受けたタタール族は一計を案じ彼の帰路を待ちうける。

入り婿となったテムジンをオンギラトの宿営に残し帰路についたエスゲイはタタール族の宴会に遭遇、草原のしきたりに従い彼らの宴に加わった。彼は勧められるままにテムジン＝ウゲの息子ジャリンブカが注いだ酒を飲む。それは毒入りの馬乳酒だった。ジャリンブカからそのことを告げられ死期を悟ったエスゲイは激痛に耐えながら家族の下に帰り、オンギラト族からにテムジンを呼び戻すと彼にタタール族への復讐を遺言して絶命した。

一年後、アンバガイ汗の未亡人･オルベイ妃はテムジン母子が父の墓参に出ている間に祖先の祭祀を行う。祭祀から締め出されたテムジン達はモンゴル族から事実上孤立する事になった…。オルベイ妃はテムジン親子を除外して部族会議を開き、彼らの追放を決定する。さらに彼女は孫であるタイチウト氏のタリグタイをモンゴル族の長に推したがブルキン氏らの反発を招く。エスゲイの弟達はモンゴル族の分裂を嘆き絶望する…

第３集 訶額侖一家の苦難　（ホエルン一家の苦難）

タイチウト氏のタリグタイはホエルン一家を置き去りにしてモンゴル族の移動を強行、反対した老臣チャラカはエスゲイの従者だったトドに殺される。ホエルンはエスゲイの形見の矛を掲げて民を呼び戻そうとするが、その努力も空しく一年後には最後まで残ったムンリク一家も去ってしまう。民も家畜も失い孤立したホエルン一家は父の復讐を胸に生き延びる決意をしテムジンは一家の長として弟達を指揮する。しかしテムジンの異母弟ベクテルはテムジンを家長と認めず反発する。

テムジンは病気で倒れたホエルンのために弟カサル達と魚獲りに出かけ、ここで再会したジャムカと再度アンダの誓いを結ぶ。カサルからベクテル･ベルクタイに魚を強奪されたと聞いたテムジンは彼らへの制裁を決意、ベクテルを射殺してしまう。ベクテルの遺骸を目の当たりにしたホエルンはテムジンを激しく折檻する。その夜、敵の多い中で数少ない味方を殺した非を諭す母の言葉に涙するテムジン…

四年後…十六歳のテムジンは一家の馬を盗まれ、追跡に出る。途中で同様に馬泥棒に遭った少年の協力で馬を奪回したテムジンは追撃する馬泥棒を巧みな弓術で撃退。そしてボオルチュと名乗った少年から忠誠を得られたテムジンは彼を友（ノコル）と呼んだのだった。

第４集 鈴木真の危機　（テムジンの危機）

テムジンから馬を奪い返されたトドは経緯をタイチウト氏に報告、病床のオルベイ妃とタリグタイはテムジン殺害を謀る。テムジン一家は逃避行を続けるもテムジンは家族を逃がすべく単騎で行動、遂に捕えられた。捕縛された彼を預かったソルカン＝シラはその子チラウン･カダアン共々彼を丁重に扱い、テムジンは彼らの情に涙する。

処刑が間近に迫ったテムジンは見張りのトドを欺いて脱出。再度ソルカン＝シラを頼ったテムジンは彼の指示で羊毛の山に隠れる。その中の暑さに根をあげかけたテムジンに対し、カダアンは自らも共に中に入りその苦を共にする…。シラの手引きでタイチウトの集落を脱出したテムジンは再会したジャムカと三度目のアンダの誓いを結ぶ。ジャムカの助けでテムジンは家族とボオルチュに再会する。

三年後、テムジンは減丁（モンゴル人拉致）に出た金国の小部隊からモンゴル人を救出。逞しく成長したテムジンの元に離散したモンゴル族が戻り始める。その中には減丁から救出された父の旧臣やジェルメ･スブタイ兄弟の姿もあった。ここに至ってテムジンはオンギラト族からボルテを妻に迎える。彼の結婚を知ったタタール族のジャリンブカはメルキト族を教唆しテムジンを攻撃させようとしていた…

第５集 蔑儿乞族の襲撃　（メルキト族の襲撃）

メルキト族は二十年前の復讐をせんとボルテ略奪を企てるが、オンギラト族との敵対を嫌い時期を待つ。テムジンはホエルンの助言に従い、かつての父の盟友･ケレイト族長のトオリル＝ハーンを訪問、オンギラト族からの結納の品にしてアンバガイ汗の形見である黒テン皮の鎧を献上した。

テムジンの留守中に懐妊の兆候が現れたボルテ。そんな時に彼の集落はメルキト族に襲撃された。部族はホエルンの主導でブルカン岳に避難したがボルテはエスゲイの第二夫人と侍女ゴチアクン共々捕えられ、チレドの弟･チルゲルの妻にされてしまう。凶報を受けたテムジンは独力でボルテを救出せんとメルキト族に夜襲をかけるが多勢に無勢で失敗に終わる。

自分が弱い時は他人の力が必要と悟ったテムジンはトオリル汗と盟友･ジャムカに支援を求める。メルキト族に旧怨のあるトオリル汗もジャダラン族長として一万の兵を率いるジャムカも共に快諾、その成果に喜ぶテムジン。一方ボルテは持ち前の気丈さで臆病なチルゲルを拒み続けていたが…

テムジンはジャダラン族に身を寄せていた父の親友モンリク･伯父アルタン･叔父ジュルチェディと再会、モンリクは「盟友は弱者は助けるが強者とは共存できない」と忠告する。同じ頃叔父ダリタイ･甥フチャルがテムジンの下に合流。また一つにまとまろうとしているキヤン族をみてホエルンは二度と一族が離散しない事を願うのだった。