第三巻：第１１集〜第１５集あらすじ

第11集 合答安の再会　（カダアンの再会）

テムジンを負傷させた射手･ジルゴアタイはソルカン＝シラの勧めで投降、その堂々たる態度に感銘したテムジンは彼にジェベ（矢）の名を与えた。テムジンは投降したタイチウト族を寛大に扱うと約束するが、命令を無視したダリタイがチラウン･カダアン達の集落を襲いカダアンの夫が殺されてしまう。テムジンはダリタイを捕縛する。再会したカダアンに非を詫びたテムジンは命の恩人である彼女を妃に迎えようとするが、カダアンは固辞し侍女として仕える事を望む。そして自らの事で血族を罰する事のないようにとダリタイを許すように願うのだった。

タリグタイを逃がしたナヤアと彼を殺したトドがテムジンの下に出頭、テムジンは二度の裏切りを犯したトドを処刑し、ナヤアを護衛に取り立てる。ジャダラン族は壊滅しジャムカはトオリルハーンに捕らえられた。その処分を委ねられたテムジンはアンダの誓いで交換した贈物を返し彼の身柄をトオリルに預ける。ボオルチュらは助命に反対するがテムジンは敵ながら恩人でもあるジャムカを殺す気になれなかった…。

テムジンに側室を迎えるように勧めるカダアン。テムジンはメルキト族に傷つけられたボルテに優しくするゆえに側室を持たずにいたが、その気遣いが却ってボルテを悲しませると考えたのだった。1202年、テムジンは最後の仇敵･タタール族を三日間の激戦の末に撃破、首領ジャリンブカは毒杯を仰いで死ぬ。アルタン･フチャルはテムジンの命令を無視して戦利品を略奪するが…。

第12集 也遂・也速干を妃にする　（イェスイ・イェスゲンを妃にする）

タタール族に対する勝利の宴の後、テムジンに新しい妃を迎えさせようとするカダアンはチラウンと謀ってタタール首領イェケ＝チェレンの娘イェスゲイをテムジンの寝床に送り込む。翌朝イェスゲンの美貌と人柄に魅せられたテムジンは彼女を妃にする。彼女の願いを受け姉のイェスイを妃に迎えると共に二人のの父イェケ＝チェレンを助命するテムジン。

二人の妃が同席したクリルタイ（部族会議）にて、テムジンは父の遺言のもとタタール人の捕虜を皆殺しにする決定を下し秘密厳守を言い渡す。しかしカサルはその決定にあえて背き半数の捕虜を逃がし、ベルクタイは同朋の運命を気にかけるイェケ＝チェレンにせがまれ秘密を話してしまう。チェレンの指示で武器を隠し持ったタタールの捕虜達はモンゴル軍に激しく抵抗、思わぬ損害を出したテムジンは二人の妃を疑い捕縛した。真相を話したベルクタイを処罰したテムジンは残った捕虜を処刑しようとするがイェスイ妃に「ジャムカやタリグタイと変わらぬ行為」と激しく反対される。チェレンはモンゴルとの宿怨は自らの命で償うと告げてテムジンの目前で命を絶ち、テムジンはその死を悼むと共にイェスイに常時自分に諫言する権限を与えるのだった。

二人の妃を迎えた事をボルテにどう話したものかと悩むテムジン。ボルテへの使者を誰も引き受けたがらない中、ムカリがその役を買って出る…。

第13集 乃蛮族との戦い　（ナイマン族との戦い）

タイチウト･タタールを撃滅したテムジンは本拠のオノン河畔に凱旋。その中にはテムジンの処罰に不満を持ったダリタイ･アルタン･フチャルの姿は無かった。ケレイト族の監視下で不遇をかこつジャムカは彼らを迎え入れてテムジンとトオリルの離間を目論む。

タタール人の妃の事で内心穏やかでないボルテはこの件に関わった侍女を呼び出し不快感をあらわにするが、彼女がテムジンの恩人カダアンであると知って非礼を詫びた。複雑な心境を吐露するボルテにカダアンはテムジンの心境を代弁する。同じ頃、ホエルンはテムジン一家に忠実に仕えたゴチアクンの死に涙していた…葬儀の場に送られる彼女の遺骸を担ぐのはテムジンの4人の息子だった。

1202年秋、テムジンはケレイト族と連合しメルキト族の残党を受け入れたナイマン族と戦う。ジャムカは慎重なテムジンの戦法を逆手にとってトオリル＝ハーンに讒言、テムジンを討つ事に踏み切れないトオリルはテムジンの軍を残して密かに撤退、取り残されたテムジンはナイマンの打倒を諦め退却した。ケレイト族はナイマンの名将･ケクセウサプラクの追撃で壊滅状態になりトオリルの弟ジャガガンボはテムジンに精鋭である四駿の派遣を懇願する…。

第14集 克烈族との激戦　（ケレイト族との激戦）

テムジンの援軍に救われたトオリル＝ハーンは改めて彼と親子の誓いを結ぶ。しかしテムジンの部下達はトオリルに対する不信感が拭えず、彼の息子サングンも不快感を隠そうとしない。その後テムジンはトオリルに投降したメルキト貴族の娘･クランと出会う。

ボルテによるケレイト族との二重婚姻の提案はジュチをメルキトの子と主張するサングンにより拒絶された。深酒をするテムジンをみてカダアンはジュチに対する複雑な心境を見抜く。ジャムカの計略によりフチャルから兄の出生疑惑を聞かされたチャガタイはジュチと喧嘩になり遂に斬り合いになってしまう。二人を鞭打ち息子達を叱ったテムジンはこれもかつての弟殺しの因果かと思い悩む。兄弟を公平に扱い信頼することと忠言するカダアンだが…

父と決裂したサングンはジャムカらの教唆にのりテムジン打倒の兵を挙げた。トオリルもまた度重なる息子の要請に抗しきれずテムジンとの対決を決意する。そして1203年、カラ＝カルジトの戦いで両雄は激突。互いに大損害を出した戦いはケレイト族の優勢で終わるもサングンの負傷で弱気になったトオリルは追撃を断念する。一方、テムジン側は弟カサルが生死不明となり妹のテムルンがフチャルに射殺されていた…。

第15集 講和交渉決裂

軍民の大半を失っ窮地のテムジンはベルクタイとゴルチをトオリルとの講和交渉に出す。二人は情理を尽くした弁舌でトオリルに一旦講和を承諾させるが帰路にサングンの襲撃を受けて決裂してしまう。この交渉で時間を稼いだテムジンは東方の草原に撤退し再起を図る。

ジャムカ達はケレイトの不安定な内情に付け入り反乱を計画するが、事前に察知したトオリル親子に急襲され再び流浪の身となる。彼らは西部のナイマン族に亡命するが、テムジンから離れた事を後悔するダリタイは一人東に去っていった。

少ない軍民を連れ移動を続けるテムジンに耶律阿海とウイグル商人の鎮海が協力を申し出た。彼らを迎えたテムジンは金国打倒とまだ見ぬ西方への夢に希望を持つ。タタール人に助けられたカサルとも再会したテムジンはバルジュナ湖畔で質素な宴を開き将軍達に今後も苦楽を共にすることを約束するのだった。

1203年秋、力を回復したテムジンはトオリルを罠にはめるべくカサル父子を投降させる。これを快諾するトオリルの無節操な態度に愛想をつかしたジャガガンボはナイマンに亡命。トオリルの優柔不断とサングンの軽挙妄動がケレイトを滅亡させようとしていた…。