第五巻：第２１集〜第２５集あらすじ

第21集 耶律楚材との出会い

チンギスは明安の推薦で幕僚となった郭宝玉の言を容れ、女真族勃興の地･遼東をムカリに占領させる。 モンゴル軍から首都･中都を防衛し安堵していた金の朝廷は遼東失陥の報を受け戦意を失う。 チンギスはこの機を逃さず兵馬を休ませるために講和交渉を行う。講和の使節･完顔承暉は誇りを失うことなく堂々とチンギスと交渉、称賛されたが…

モンゴルと停戦した金では皇帝･永済が胡沙虎に殺害され、実権を握った彼を批判した完顔綱も粛清された。 新たに擁立された皇帝は首都を開封へ南遷することを決め、その愚策を聞いた徒単鎰は憂悶のうちに病死する。 中都の学生達は遷都反対の献言をすべく耶律楚材に協力を求めるが彼は仏門への帰依を理由に断っていた。

1214年、遷都の報を受けたチンギスは再度金を攻撃、中都を包囲する。糧道を断たれ飢餓地獄に陥った中都の惨状に守将･完顔承暉は敗戦の責を負い自殺。 中都を占領したチンギスは耶律楚材の召喚を命じる一方で兵達に略奪の許可を出す。 モンゴル兵に抵抗して重傷を負った中都の学生の最期の言葉で意を決した楚材はチンギスの元に赴く。 契丹人の楚材に対し、チンギスは「征服された祖先の敵を取ったことになる」と語る。対する楚材の答えは…

第22集 林木中の民の反乱

中都を征服したチンギスの元にモンゴル本土からの林木民の万戸･ゴルチがトマト族の女傑･ボトクイに監禁されたとの報が入る。 ゴルチはかつてチンギスから約束された30人の妻を全てトマト族から選ぼうとしボトクイをも欲したため彼女の不興を買ったのだった。 同じ林木民の長でチンギスの縁者のクドカベキもボトクイの説得に失敗し捕らえられたと知ったチンギスは本土の不穏な動きを鎮めるべく本土に戻る決意をする。 その一方でアンバガイの遺品の返還を条件とした金の講和要求を拒絶したチンギスは腹心のムカリを国王に任じて対金戦争の全権を委ねた。

チンギスはトマト族に対し養子にして四駿の一人･ボロクルを派兵するが、ボトクイに対し強硬な姿勢を取った彼は不案内な土地での突出がたたり全身に矢を浴び絶命する。 悲報を受けたチンギスは自らトマト族を討とうとするも耶律楚材から諫言される。 トマト族はナヤアの包囲戦術により降服、チンギスは今回の擾乱の原因となったゴルチを厳しく叱責するがそれでもかつての約束を守り30人の妻を林木民から選ばせた。 ボトクイはクドカベキの妃となることを命じられる。

長らく流浪していたトオリル汗の弟ジャガガンボを保護したチンギスはかつての恩義を思い彼の娘ソルコクタニを末子のトゥルイに娶せた。 彼の情報によりメルキト族の残党の蠢動を知ったチンギスはスブタイとジュチに残敵の掃討を命じる。

第23集 答刺城の隊商事件（オトラル城の隊商事件）

中央アジアの大国･ホラズムの王ムハンマドは国境に現れたメルキト族の討伐を諸将に命じる。 しかしメルキト族はホラズム軍の到着より前にモンゴル軍に滅ぼされていた。 一方、西遼の国王に取り入りその女婿となったナイマンのクチュリュクは王国の乗っ取りを画策、ムハンマドを教唆し西遼王を攻撃させる。 彼からモンゴルの事を聞いたムハンマドはまだ見ぬ東方の強国に敵愾心を抱く…。

チンギスはイスラム商人のマフムードから西の大国･ホラズムの事を聞かされ深い関心を持つ。 メルキト討伐を終えたジュチ･スブタイからクチュリュクが西遼を乗っ取ったと知らされたチンギスはジェベ･郭宝玉にクチュリュク討伐を命じ、 一方でその隣国･ホラズムには百戸長となったトダを長とした五百人の隊商を送り交易を行おうとする。 いずれも金討伐のための西方安定を図ってのことだった。

ホラズムの都市･オトラルに到着した隊商は領主のガイル汗（イナルチュク）に会う。 隊商に加わっていたインド商人はガイル汗と幼馴染だった事を利用して彼と直接交渉するが、宴席でチンギスハーンの偉大さを強調して不興を買う。 激昂したガイル汗は隊商の四百九十九人を捕縛、公開処刑してその財宝を全て自分のものにしてしまった。 一人脱出したトダからこの悲報を聞いたチンギスは三日三晩モンゴルの蒼天に祈りを捧げホラズムへの復讐を決意した…！

第24集 西征を決意する

隊商虐殺の件を知ったホラズム王子ジャラールはガイル汗の暴挙をなじりモンゴルへの釈明を主張するがムハンマド王は聞き入れず、 皇太后トルカンの主張するままにモンゴルとの対決を決める。 チンギスは隊商虐殺を詰問する使節を派遣するが、団長の鎮海が処刑され副団長のマフムードはガイル汗から耐えがたい屈辱を受けてしまう。

西遼討伐軍のジェベ･郭宝玉はクチュリュクをウダン城に追い詰め、一計をもって城内の住民を扇動し彼を殺させた。 西遼が滅亡寸前との報を受けたムハンマドはその領土を奪うべく自ら出陣、モンゴル軍と遭遇する。 ホラズムの先制攻撃にあったジェベらは「心臓破り」の戦法でムハンマドの本陣に突撃して退却させた。

マフムードやジェベの報告を受けたチンギスはホラズム征伐を決断した。 クリルタイを開催し、一族のほとんどを引き連れ二十万の大軍で出征すると決定したチンギスに対し、イェスイ妃は彼に万が一の事を考え後継者を決めるように献言する。 その言を容れてチンギスは正妃ボルテの四人の息子に意見を求めるが、発言の順序をめぐってチャガタイがジュチを挑発し大喧嘩になってしまう。 この有様に涙するボルテ。チンギスはかつての弟殺しの天罰と思い心を痛める…

第25集 後継者は窩闊台　（後継者はオゴタイ）

イェスイ妃のオルドにいたチンギスは四人の息子の謝罪を受け、改めて後継者についての意見を求める。 チャガタイは人望のある オゴタイを推挙しジュチ･トゥルイもこれに同意した。 かくして後継者はオゴタイと決まったが過去に何度も誓い破りを味わったチンギスは息子たちの宣誓にも疑いを抱き、イェスイ妃も兄弟の相克を憂慮する。 チンギスはジュチ･チャガタイにホラズムの征服地を分配しオゴタイにはモンゴルの重鎮達をつけて補佐させる事で最悪の事態を避けようと考えていた。 1219年、チンギスは老いた母ホエルンに見送られて西征に出発する。

ホラズムでは来たるべきモンゴル軍の襲来に対する議論が行われ、ジャラールは国境に四十万の大軍を集結させ野戦でモンゴル軍と戦う事を主張したが聞き入れられない。 以前の遭遇戦でモンゴルに対する恐怖心が残っていたムハンマドは諸将に各都市の防衛を命じる。これは戦力の分散を意味していた…

耶律阿海と明安は長春真人こと丘処機をチンギスの元に召喚することを命じられるが交渉は難航していた。 一方チンギスはイスラム教のカリフの使節の謁見を受け救世主と崇められる。 ホラズムが東西に敵を作っていると知ったチンギスは軍勢を分けてオトラルなど諸都市の攻略の手立てを整えた。 予想をはるかに上回る早さで現れたモンゴルの大軍にガイル汗は恐怖する…