発端


 「それじゃあ博士!始めるわよっ!!」
 「あのな、テオドラ。気合十分なのは結構だけど、何をするつもり・・・」
 (ドカッ!バキッ!ゴキッ!)
 「い、いきなり、なんなんだ、テオドラ?」
 「そういう言い方はやめなさい。私たちが、(表記不可能)じゃないの!?」
 って、ちょっと待たんかい!いきなり、シモかよ?ああ、そうだ、彼女はテオドラ。ビザンツ共和国のコンスタンチノープルで見つかった遺跡を調査する際、考古学者であるオレの助手(日本語を話せるのが前提)で雇ったコなんだけど・・・う〜ん、オレが組織のCEOなら、こんなやつ、ぜってー雇わねぇ。何でって?そりゃ、すぐに分かると思う。詳細は、登場人物の紹介で述べたように、私の友人(管理人さん、勝手に友人にしてすみません!)でもある激動ユーラシアのウェブで紹介されている(グレートヘルプのビザンツ帝国史の終章)ように、その遺跡から、ビザンツ帝国の参謀長でもある、グレートヘルプの日誌が見つかったことが発端だった。
 さてこの日誌、(当たり前だけど)ビザンツ帝国の歩みを綴ったものだったんだけど、筆者は日本人で、日本語で書かれていたという、訳がわからないもので、ビザンツ帝国では半ば伝説ともなっていた、グレートヘルプ参謀長の存在が明確になった書物で、非常に学術的に貴重なものだと、全世界で話題になった。(その割には、チン4で将軍として出て来ないのが、悲しい)
 だが、ちょっと待ってほしい。
 そう、筆者は、あのとき730年の時代をタイムワープした、オレ本人なのだ!学術的に高い云々は置いといて、これはオレのものだと主張したが、当たり前だ。オレは全世界で「バカ扱い」。たまたま、ファーストネームが「大助」で、英語に直訳すると“グレートヘルプ”になるからとか、ま、これも当然だけど、誰も信じてくれなかった。
 あんましいろいろと言うと、今度はグレートヘルプを騙る小人物と言われてもいやなんで、その後はさすがに沈黙したのだが・・・
 だけど、実はオレがガラにもなく、ヘベレゲに酔っ払ったときに、うっかり「デビュー」したキエフ攻略戦についての詳細を、テオドラを初めとした仲間たちに、ベラベラとしゃべったらしいのだ。
 誰も信じてくれなかったけど、この後とんでもない文献が見つかった。
 その後、当時ビザンツ帝国第1王子、アンドロニコスの日誌が、同じ遺跡から見つかった。ところがこの日誌だが、書いてあることは、アンドロニコスの初陣の詳細。つまり、オレがうっかり仲間にしゃべった内容と、完全に一致。当たり前だ。一緒に、キエフを攻略したんだし。(これも、詳細は「グレートヘルプのビザンツ帝国史〜第1章」を参照してほしい)
 で、テオドラが・・・
 オレのことを「本当に、グレートヘルプ参謀長の生まれ変わりなのでは?」と思っているらしく(本人なんだってば!)その真相(真相って、あのなぁ・・・)を解くべく、日本にステイしているってわけだ。
 で、それを確かめるために、彼女が用意したのが・・・
 プレステ2と、あの光栄のシュミレーションゲーム、「蒼き狼と白き牝鹿W」!
 「あのなぁテオドラ、オレがグレートヘルプかどうかは、この際置いておこうか。(本当は、納得できんが)でもな、これ、ゲームじゃんよ?」
 「あら。でも、条件は一致しているわよ」
 その一致しているのは、グレートヘルプのビザンツ帝国史(でも、よく考えると、管理人さんのウェブでは、外国の歴史文献が掲載されているのですね・・・)の序章に記載されている通りの内容だった。
1. 首都の兵士が概ね5,000〜6,500名程度しか、いなくなってしまったこと。(だいたい、こんな感じ)
2. 各国も、兵士数を相当減らしていること。他国の都市も大体同じような兵力。
3. 将軍が、一定の人数消えてしまったこと。
4. 率いる兵力の上限が、国王や王族で5,000名、親族・婿将軍は4,000名、その他の将軍は3,000名に限定されてしまったこと。
 うん、この設定は、グレートヘルプのビザンツ帝国史からのパクリだな。だが、実際は、シナリオ2の元以外、突出して大きな国力を持つ国はいない。
 「というわけで(どういう理由だよ?)スタートするわよ、博士!」
 「って言うか、君、本当に、ビザンツ(ギリシャ)人?」
 「というわけで、新しくゲームを始めると・・・どこの国でいこうか?」
 「もちろん、1271年で、元を選択・・・」
 「屁タレ」
 と、テオドラの一言。
 「なぜ?」
 「元を選んだら、統一なんて簡単でしょう!?」
 「いや、だってオレ、ビギナーだし・・・」
 「ねぇ、本当にあなた、グレートヘルプ参謀長なの?」
 テオドラは、オレを疑っている。
 「しょ、しょうがねえな。じゃあ、ビザンツ帝国で」
 「シナリオ変えましょう。1189年で勝負してよ。だいたい、コンスタンチノープルは簡単に武器の都になっちゃうでしょ?私の祖国なんだし、ビザンツ国民が良いと言っても、ビザンツを選ぶのはこの私が許さないわ!博士の汚らわしい手で、私の祖国を操らないでちょうだい!」
 って言うか、汚らわしいって、何がだよ?まさか、君かオレの性格のことか?
 「(グッと言葉を飲み込み)シナリオ1なら、モンゴルか日本、アイユーブ朝でもいいか」
 「本気で、選択する気?」
 テオドラの、白い目がこちらに向く。
 「グレートヘルプ参謀長って言い張るなら、もっと苦難が多い国じゃないとダメよ!」
 「あぐ・・・まさか、高麗や吐藩、国王がすぐに死ぬポーランドでやれってわけじゃねぇだろうな?」
 「あるいは、2人しかいないベネチアとかね」
 「マニアックな所で、西遼とか・・・まさかね」
 「西遼は都市が2つあるし、食料の少ない序盤にモンゴルを攻略できれば、世界制覇は達成したようなものだわ。それじゃあ、つまんないでしょ?」
 「まさか、両シチリア王国とかじゃなかろうな?」
 「うん、そうしましょ。ビザンツと両シチリア王国は、非常に仲が悪かったんだけど、ミカエル大帝(と、呼ばれているらしい)が、なんでそこまであの国を嫌ったのか、それを知る手がかりがあるかもしれない!」
 「い、いや、テオドラ、考え直せ。例えば、アッバース朝とかでもいいんだぞ?」
 「だめ。キリスト教徒とイスラム教徒は、今でも仲が悪いんだから。私のご先祖様が許さないわ。決まり、国名、両シチリア王国、国王ギヨーム2世、政治46、戦闘68、知謀57。国力低い。都市1、将軍2。レッツ・ゴー!」
 テオドラは、そこで勝手に○ボタンを押し、決定してしまった。
 本当に、こんなんで大丈夫だろうか?不安アリアリだが、こうして、オレたちのプレイが始まった。
☆ 登場人物の紹介
★ グレートヘルプ(私):考古学者(らしい)かつて、ビザンツ帝国で参謀を務めていた時代もある。詳細は、kircheisさんのサイト「激動ユーラシア」(管理人さん、勝手に名前出してごめんなさい)の“グレートヘルプのビザンツ帝国史”に詳しい。しかし、後になって発覚したが、テオドラ(助手)いわく「運が良いだけ」で「性格は、せこい」と、満場一致(一人しか評価してねぇのに“満場”かよ?)で決まったみたいだ。(ヲイ、はっきりしろ)
★ テオドラ:う〜ん、そんな記憶は無いが、“ビザンツ共和国のコンスタンチノープル出身”という、かなり怪しい設定の、私の助手らしい。なんでも、遺跡の発掘調査をする際、現地で日本語できる人・・・で、彼女を雇ったらしい(これも、グレートヘルプのビザンツ帝国史の「終章」をご覧下さい)が・・・結論を言うと、現地人を雇わなければならない状況だったとしても、彼女だけは雇わなかったはずである。(ヲイ)
★ 管理人さん:ご存知「激動ユーラシア」の管理人兼国王(多分)を務める、当代随一のウェブマスター。しかし、強引にグレートヘルプの友人にされた挙句、勝手に名前を出されている、ある意味被害者。(管理人さん、マジでごめんなさい。大変申し訳ないのですが、勝手に名前を使わせていただきます。実は、管理人さんがいらっしゃらないと、先に進まないのです。設定では、ビザンツ帝国の文献を、ウェブで紹介したことになっているので)管理人さん、ごめんなさい。m(_ _)m
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