第１章　ルーリック帝国、独立

　「しかし・・・ノガイが独立しなかったら、どうなるわけ？このままキプチャクで進めていいわけ？」
　「ダメ。ちゃんと、反乱を起こしてもらうために、ビザンツも選んだんでしょ？」
　「まさか、ミカエル８世に間謀やらせる気？」
　「ミカエル大帝には申し訳ないけど、それで忠誠を落として、反乱に導いてもらうわ」
「独立まで、って言うか、マトモにプレイできるまで、何年かかるか・・・何？カラーウーン？？？」
試しにアンドロニコスが「登用」コマンドをかけたら、カラーウーンがかかった。こいつ、新春に出奔したんだけど・・・
「ビザンツで、プレイし直そうか？」
「ダメ！」
「いや、ほら、オレも、勉強になるし・・・」
「ダメ！私のファンのみんなが許さないわ！私の苦難を“才色兼備のビザンツ王女、その苦難に満ちた美少女の物語”と見るファンのみんなが、私を待っていてくれるのよ」
「・・・（は？美少女？）」
（ドカッ！バキッ！ゴキッ！）
　「待て、オレはまだ何にも言ってねぇ・・・」
　「まだ？・・・ってことは、何か言おうとしたんでしょ？私のイメージ台無しじゃんよ。どうしてくれるのよ！」
　そりゃ、お前が悪いんだろうよ。
　「ともかく、さっさと独立させねぇと。およ？コンスタンチノープルで将軍発見。知謀８２！なんだ、こいつをキエフに派遣しよう」
　やれやれ。さっさとノガイを独立させねぇと、シナリオが先に進まん。
　しかし・・・
　１２７２年新春、それは突然やってきた。
　「よし、独立した。ビザンツは委任・・・」
　「間謀送る必要無かったわね」
　「しかも、直前で“登用”したら、将軍発見だ。よし、いいペースだ」
　「で、名前がルーリック帝国？なんか、蒙古らしくない名前ね」
　「しかも、さっき雇ったのはキヴィッチっていう将軍のはずなんだけど、なぜかもう１人将軍がいるな。サヴォヴェリアン？おかしいな。こんなやつ、雇った覚えねぇぞ」
　「まあ、いいじゃない。どうせ、最初は将軍が不足するんだし」
　う〜ん、キエフの規模じゃ、まともな将軍を期待するのも間違いだけど、確かに両名とも、能力についてはたいしたことがないな・・・
　１２７２年春。独立１ターン目。
　「早速宴だ！」
　妃の名は、ロクリチュ。当たり前だが、モンゴル系。
　「よおし、一発ヅモだ。ま、日ごろの行いがよいからな」
　「ところで、どっち方面に進軍するの？」
　「軍を動かせる状況じゃねぇけど・・・そこそこの状態になったら、コンスタンチノープルを陥とす」
　「なぜじゃ？」
　「い・・・いや、コンスタンチノープルさえ陥とせば、世界制覇は見えてくるだろう？」
　テオドラの白い目が向く。
　「いや、でもちょっとまてよ。サライの兵士が３，０００を切っている。なぜだ？」
　なぜもくそもない。どうせ、キプチャクでプレイできないだろうから、独立前に一部の兵をキエフに移したのだ。
　「今なら叩ける。方針転換。キプチャクを滅ぼす」
　「あっさり、方針転換ね・・・」
　そりゃ、キプチャクの方が国力もあり、しかも人材でも恵まれている。（っていうか、ルーリック帝国が一番恵まれていない）
　「と言うわけで、出撃だ！」
　１２７２年秋、スリーサイズ、上から４３・５０・４６のキヴィッチと、４４・２７・１３のキリンスキーに３，０００ずつの兵士を持たせ、サライへ向けて出撃した。本来なら、こんな能力の将軍に、部隊を任せるようなプレイヤーは、まずいないだろう（笑）。でも、ここが千載一遇のチャンスなのだ。しかも、冬には吟遊詩人が現れ、イスラムの将軍を紹介してくれる。
　「でも、何にも特技が無いのね」
　「しゃーない。いないよりはマシだ」
　しかし、マジできつい。出てくる将軍が、全て「異郷」ばかりで、安心して任せられる将軍がいない上に、出てくる将軍の能力が低すぎる・・・
　「さらに、今気づいたけど、蒙古騎兵が雇えないのか？」
　「ちょっと厳しいわね」
　と、テオドラの悪魔の笑み。
　１２７３年新春、今度は吟遊詩人が「レティマ」というエジプト出身の妃を紹介してくれた。
　「これで、後継者候補も出現する可能性が増えた」
　「はいはい、良かったわね」
　そして、時を同じくして、サライを攻撃。しかも、カネの問題か、守将マング＝チムールの兵力はわずかに１，４４３名！
　「これなら・・・これならいける！」
　「せこくない？」
　「それを選んだのはきみじゃないか。よっしゃ、攻略完了」
　意外に兵力を損耗したが、９ターン後、サライの攻略が完了した。
　「あ〜あ、早くも、２都市領有か・・・これじゃあ、キプチャクと大差ないわね」
　「いや、ある。ノガイを除く６名の将軍の平均政治は４８、平均戦闘は３６、平均知謀は３５だ。いくらなんでも、人材が足りん」
　しかも、政治・戦闘に関しては、いまだにノガイがナンバー１である。
　この将軍達を率いなければならないのだ。悪いけど、これで勝てそうな国は、ポーランドしかない。
　「だから、文化を上げる。唯一“文化”技能を持つキリンスキーに、交易させよう」
　だからと言って、劇的に、都市の文化が良くなるわけでもないのだが・・・
　「しばらく、内政だな。我慢しないと・・・」
　「内政ね・・・確かにこれじゃあ」
　「ここを選んだのは、きみだからね」
　と、オレは彼女に釘を刺す。
　「でも・・・でもでも、なかなか良いペースじゃない？ね、ね？」
　そうかな〜・・・何か、他のリプレイに比べて、かなり過酷な状況だと思うけど。
　「まあ、そのうち、どちらか一方でしか建設できなかった施設が作れるようになる。それまで、戦争は我慢だな」
　それに、サライ攻略に、思わぬところで兵力を使いすぎた。確かに戦闘力の低い将軍に任せたオレが悪いんだけど、コンスタンチノープル攻略どころではなくなってきた。コンスタンチノープルは、文化が高く、こちらの将軍よりもかなり高性能な将軍が手に入る。はっきり言って、彼らとまともに張り合えるのは、ノガイ本人だけで、ノガイでもやばい状況だ。ビザンツ王族だけでも手を焼くのに、カラーウーンもいるのだ。
　「それに、さっき知謀８０を越えるやつだって出てきたし・・・うらやましいったらないよな」
　「じゃあ、ビザンツ攻略は無理ね」
　「なぜ、そこで嬉しそうな顔をする？」
　「だって、これからが苦難は本番じゃない。ほら、おいしいもの作ってあげるから。ご飯にしようよ」
　と言うわけで、ちょっと中断。あんまし納得できねぇけど、ここから先どうなるのか、それは、誰にも分からなかった。だが、当面の目標はできた。
　次に攻略する都市は・・・